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(2) 仲裁条項の要件
仲裁条項の要件は、これを(i)内容上の要件、(「)能力上の要件および(」)成立上の要件に分けてみるのが便宜である。
(i) 内容上の要件のうち必須条件としては、?仲裁判断の対象は一定の契約関係から生じた紛争の解決であること、?紛争の解決は第三者によってなされること、?仲裁手続は裁判所における裁判手続に代わるものであること、?紛争の解決は仲裁人による旨の当事者間の合意によって仲裁人に判断権が付与されるものであることが挙げられる。その他に、任意条件として、当事者は仲裁地、仲裁機関、適用法規(準拠法)等について合意することができる。
(「) 能力上の要件としては、?紛争の対象(係争物)は当事者間において和解により処分しうるものであること(客観的要件)、および?紛争の対象について当事者が和解する権限を有すること(主観的要件)を要する。
(」) 成立上の要件として、仲裁契約は書面によらなければならない。わが国の公催仲裁法には仲裁契約が書面によらなければならないとする規定はないが、このような要件を明示する国内法があり(例えば、ドイツ民訴法第1027条、イタリア民訴法第809条)、またニューヨーク条約第2条において、「書面による合意」が明示的に規定されている。
これらの要件から、仲裁条項の具体的表示を構成する要素として、次の諸点が考えられる。?仲裁により解決されるべき紛争は当事者間の契約関係から生ずるものであること。?かかる解決は第三者である仲裁人によってなされること[?と?は必腰条件]。その他、?仲裁地、?仲裁人の選任方法、?仲裁規則あるいは仲裁手続に適用される法規(準拠法)について合意することができる。あるいは、当事者間において、?〜?について詳細な取り決めをする代わりに、付託しようとする仲裁機関を指定し、当該仲裁機関の仲裁規則に従う旨の合意をする。

 

3. 諸外国のEDI協定書における仲裁条項
実際に使用されている仲裁条項には精粗様々なものがみられるけれども、これを3つに分類することができる。第1は、前述の必腰条件たる要素だけを述べたもの。第2は、必要条件のほかに、?〜?の任意条件について規定するもの。第3は、必要条件と仲裁機関について記述したものである。第1の型に属する仲裁条項の場合には、現実に紛争が生じたときに、仲裁地や仲裁機関について当事者の合意を得ることが難しいので、このような

 

 

 

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